Monday, November 12, 2012


目を開ける前から
わたしに異物がはいりこむ
からす
鳴いてる
三声
そして三声
窓へ目を向ければ
からす
朝日をうけてる
向かいの屋根のてっぺんに
一羽
つまり
目と鼻の先にいる
わたしは
夜来の寒気を
振り払えないまま
床に
積みあがってる
黒い
光ってる
光って黒い
目がくちばしが
堅実な
からす
あれが欲しい
朝のわたしは行動的で
からすをつかまえて洗う
有機溶媒たっぷり
赤いバケツつやつや
黒いからすとろとろ
からすはみんなきれいにとけてしまった
しっぱい
黒だけ欲しかったのに
まあいいか
溶けた黒をからすごと頭からかぶる
わたしの鋳型ができた
中は昼下がりの暑さで
氷のように柔らかい
わたしとろとろ
なに色かは見えないけれど
だいぶ小さくなったようだ
でも大丈夫
型が残っているから
冷えれば元に戻る
初出:おそらくnifty-serveの「現代詩フォーラム」、おそらく1999年以前